伝説のライブとして歴史に名を残した『ニコニコで歌ってみた10周年!同窓会ライブ』をレポート

2017年9月16日に開催された『ニコニコで”歌ってみた”10周年!同窓会ライブ』を見に行って参りました。今回のライブは公表されているメンバーからして、確実に伝説になることがわかっていたので、多くの取材が入っているのだろうと確信していました。ところがどうやら全く取材が入っていなかったようですので、僭越ながら、私がライブレポートの形式でまとめてみます。なお、本稿は私個人の文責によるものであり、『ニコニコで”歌ってみた”10周年!同窓会ライブ』の主催者様などとは一切関係なく執筆しておりますため、本稿に関する問い合わせは私までお願い致します。
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今では音楽ジャンルの一つとして当たり前になっている歌ってみたニコニコ大百科へのリンク。「歌ってみる」という趣味そのものは古いもののジャンルとして統一された名称が誕生したのは、2007年5月10日にニコニコ動画における公式カテゴリの一つとして設定されたことが端緒である。
その歌ってみたというジャンルが生まれて10年という節目を祝して『ニコニコで”歌ってみた”10周年!同窓会ライブ』(以下、本稿ではニコ同ライブ)が2017年9月16日に吉祥寺CLUB SEATAにて開催され、大いに盛り上がった。(文中敬称略)

当日はあいにくの荒天にも関わらず、フロアがすべて埋まる人出となった。そして一杯の会場内では、至る所で再会を喜ぶ声が上がっており、すでにその時点で「同窓会」の名称にふさわしいシーンが展開されていた。

開演時刻となり、古参歌い手の一人であるたぴおかニコニコ大百科へのリンクによる彼の動画をそのまま再現したかのような事前注意のあと、いよいよニコ同ライブ本編が始まる。まずは男性出演者による『Butter-Fly』で会場のボルテージは一気に上がり、動画を再現したかの様な声の弾幕が会場中を埋め尽くす。つづいて、女性出演者による『もってけ!セーラーふく』はまさに当時の歌ってみたであり、会場ではすでに泣いている人まで現れていた。

のっけから心をわしづかみにしたセットリストだが、ここでいったん転少女ニコニコ大百科へのリンク湯毛ニコニコ大百科へのリンクがメインMCとして、会場を落ち着かせる。ここからは自己紹介を兼ねたソロパートということで、MCを交えながら当時を思い出させる曲がこれでもかと矢継ぎ早に繰り出されていく。
ニコ動における(V)・∀・(V)(かにぱん。)ニコニコ大百科へのリンクの持ち歌といっても良い『ハナマル☆センセイション』で当時を思い出させると続いてのど飴ニコニコ大百科へのリンクが、ランティスから2008年に発売されたニコ動系商業歌ってみた初のフルアルバムCDである『ランティスの缶詰』で歌った『慟哭ノ雨』でたたみかけてくる。会場が懐かしさに浸るまもなく、Re:ニコニコ大百科へのリンクの『METAL of ルフラン』、Jニコニコ大百科へのリンクの『METAL of 恋のミクル伝説』と歌ってみたで大流行した『METAL of』シリーズを2曲続けて披露。フロアの時間はかつてのニコニコ動画に完全に戻っていく。そしてnayutaニコニコ大百科へのリンクといえばハルヒということで『God knows…』が歌われるとフロアからは歓声ともため息ともつかない声が上がる。ボカロ曲として名高い『みんなみくみくにしてあげる♪』は、同曲に藤田咲ニコニコ大百科へのリンクがコーラスで参加したCDを出している転少女が見事に歌い上げ、会場のサイリウムもミク色に染まる。みくみくにされた会場を『Shangri-La』でやまだんニコニコ大百科へのリンクが熱く燃え上がらせると湯毛が『Fire◎Flower』でボルテージをさらに高める。ここからはボカロ曲ゾーンとなり、ASKニコニコ大百科へのリンクが『カンタレラ』を妖艶に歌い上げ会場のハートをわしづかみにする。イントロから空気をすべて持って行ったうさニコニコ大百科へのリンクの『ワールドイズマイン』はさすがのキャリアといえるだろう。続いてピコニコニコ大百科へのリンクが彼自身のニコ動における代表作の一つともいうべき『恋は戦争』を熱く聴かせ、いまはHoneyWorksニコニコ大百科へのリンクのメンバーとして活躍を続けるゴムニコニコ大百科へのリンクが『1925』を熱唱した。ソロコーナーのラストは社長ニコニコ大百科へのリンクだが、彼だけは昨年の大ヒット曲である『恋』をチョイス。なぜかと思ったらここは間奏に秘密があり、コーラスのASKとともに当時の社長らしい曲の披露となった。
怒涛のソロコーナーが終わり、フロアが「次は?」となっていたところに突如、「よかったのか、ホイホイニコ同ライブに来ちまって」とだれもが聞き覚えのある声が。フロア中に明らかにどよめきが広がる。フロア中が一つの結論に至る中で始まったのは、伝説中の伝説といっても良い『バラライカ』のイントロ。そう、シークレットゲストとして、いさじニコニコ大百科へのリンクが登場したのである。
もちろん会場のボルテージは一気に上がる。披露された歌詞はさすがに替え歌ではなかったものの会場にいた全ての人の耳にはあの替え歌が聞こえていたに違いない。

5分間の休憩を挟み、後半はコラボでの曲披露となる。
クールダウンしていたフロアを軟鉄兄弟(やまだん・湯毛)ニコニコ大百科へのリンクが『BRAVE HEART』で復活させると転少女と歌ってみm@ster界のレジェンドでもあるJが御三家の一つであるアイドルマスターの『GO MY WAY!!』で空気を再び当時のニコニコ動画へと誘う。次は2008年の歌ってみたで最もランキング1位になった曲である『ライオン』をのど飴とピコというこれまた贅沢なコラボで聴かせてくれる。『ライオン』が来て、そういえばあの曲は、と思っていたところにRe:・ゴム・社長の『アンインストール』、(V)・∀・(V)・うさの『鳥の詩』、nayuta・社長の『you』、Re:・ASKの『月のワルツ』、(V)・∀・(V)・やまだんの『IN MY DREAM』がたたみかけられてきた。このたたみかけられ方に筆者は「やばい」としかいえない体にさせられており、正直記憶がすっかり飛んでしまっていることをお詫びしたい。
『IN MY DREAM』のあと、転少女と湯毛が二人で出てきて、MCをはじめる。湯毛の「and moreは本当はいさじさんだけのはずだったんですが」というセリフに大きくどよめいた会場に現れたのは本日二人目のシークレットゲストyonjiニコニコ大百科へのリンク。すかさずフロアから「勉強しろ!」の声が挙がるのはお約束とはいえ、10年の時を経てまだ「勉強しろ」といわれるyonjiには同情するしかない。おそらくyonjiがニコ動系のライブで歌を披露するのは相当久しぶりと思われるが、三人が歌った『ふわふわ時間』での相変わらずの歌声には感心させられた。続いてyonjiとASKの二人で『ローリンガール』が歌われる。この『ローリンガール』はyonjiがギターアレンジをし、九二四れいが動画をつけたバージョンが歌われ、まさに動画がそのままリアルになるこのライブを象徴する一曲となった。
この流れを受けたJ・やまだん・ピコが2007年の歌ってみたを代表する一曲である『エアーマンが倒せない』を当時から格段に上がった歌唱力で会場を圧倒させる。リアルライブでは7年ぶりくらいのコラボになるといういさぱん。(いさじ・(V)・∀・(V))ニコニコ大百科へのリンクはこれまた二人の代表コラボ作ともいうべき『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』を滑舌よく見事に歌い上げる。これで東方の曲が歌われたことになり、御三家すべての曲が披露されたこととなった。
初期ニコ動を支えたコンテンツの一つである『けいおん』からこれは欠かせないだろうという『Don’t say “lazy”』をのど飴・転少女が熱唱した。そしてピコ・ゴムの『ブラック★ロックシューター』は会場の合いの手がゴムの動画の再現になっていて自分たちで合いの手を入れながら自分たちで笑うというニコ同ライブらしい一幕も。かつての歌ってみたに一大ブームを起こした『星間飛行』はのど飴・J・nayuta・転少女・ピコによって披露されたが、会場中が「キラッ」の振りをしていたのはフロアも含めてレジェンドばかりのライブであることを再確認させられた。
ここで初期歌ってみたを『エアーマンが倒せない』とともに支えてくれたあの名曲が、これまた初期の歌ってみたを支える屋台骨であったJとゴムによって歌われた。そう、伝説の『思い出はおっくせんまん!』である。歌う方もレジェンドなら聞く方もレジェンド。すべてのコメント弾幕が声弾幕として見事に再現された。そして『思い出はおっくせんまん!』を聴きながらフロアに笑い泣きしている人も見受けられたのは強く印象に残っている。
コラボ曲のラストはこれもまた初期の歌ってみたには欠かせない『ハレ晴レユカイ』を(V)・∀・(V)・nayuta・転少女・うさという女性陣に交じって、なぜかいさじも一緒に。会場からは喝采が上がったのは言うまでもない。
本編のオーラスは全員登場して、ニコニコ動画系のライブでは一時期定番であった『真赤な誓い』を会場まで交えての大合唱となった。
出演者が退場するとすぐにアンコールのコールが始まる。少し休憩を取った出演者が再び現れて、アンコールは『SKILL』『メルト』の2曲をフロアも一緒になっての大合唱。もちろんコールもしっかりと決まり、3時間以上のライブは大団円となった。その後、名残惜しい人たちが退場のBGMに併せて大合唱するなど、最後までボルテージが上がったままのライブとなった。

歌ってみたが10周年ということで開催された今回のライブであったが、フロアの熱気が当時の動画そのままであったのは、歌ってみたを数値データから約9年見ていたものとしては正直意外であったのも事実である。しかも今回のライブは事前にセトリが公表されたわけではなく、しかも最近の楽曲といえば、『恋』のみ。しかし、まるで事前に予習をしてきたかのようなフロア中から起こる声の弾幕は、往時の動画をそのまま持ってきたかのような状況で、ニコニコ動画が本来持っていた投稿者と視聴者のコミュニケーションが復活したかの様だった。このすばらしい時間をこれだけ多くの人が共有し、しかもそれでもなおまだ来られなかった人がたくさんいるということは、10年を迎えたniconicoが本来公式としてやらなければならないリアルイベントの方向性は、本来こういうことなのだろうと確信した。

大成功に終わった今回のライブを受けて、一視聴者として期待したくなるのは、やはり2008年8月23日に開催された「NicoNico Summer Live (笑) 2008ニコニコ大百科へのリンク」というもはや伝説を通り越して神話と化しているライブの10周年記念企画である。会場となったディファ有明は残念ながら2018年6月での閉鎖が確定しているが、例えば至近にある豊洲Pitなどでの開催はできないか、ぜひとも関係各位には検討をお願いしたい。

一方、ニコニコ動画を語る上で今後欠かすことのできないキーポイントになった今回のこのライブを取材に来ていたメディアは一つもなかった様である。各方面で様々な形で取り上げられている初音ミク・ボカロに比べて、音楽文化を新たな方向に向かわせるもう一つの原動力となった歌ってみたの10周年に対する注目があまりにも少なく、専門誌ですらこのライブの取材に来ていないのは、本当に残念でならない。

事前の抽選では落選者が続出していたことはTwitterの検索などで明らかだが、当日もフロアは超満員となっていた。そうした状況にもかかわらず、特に大きな混乱もなくライブが無事に終了したのは、参加者が10年間の蓄積を持っていただけでなく、スタッフもまた10年間の蓄積を経たが故であろうと思う。これだけのライブを裏から支え、事故なく無事成功に終わらせた当日のスタッフ各位にも改めて敬意を表したい。

おそらく様々な側面で将来にわたって語り継がれるであろう今回のライブであったが、多くの出演者はいまでもニコニコ動画で動画を投稿し、個人での音楽活動を行っている。これを機会にぜひともTwitterのハッシュタグ「#ニコ同」で次回開催を期待する声を上げるとともに出演者の動画を改めて視聴してコメントをつけてほしい。その両方を行うことこそが次のニコ同ライブの開催につながると筆者は確信している。